3年生クラスに参加しているK君は、自分の興味があることについて、いつも目を輝かせながらお話をしてくれます。アメリカで生まれ育った彼が、日本語で一生懸命お話をしてくれると、こちらも嬉しくなり「うん、うん。」と楽しく聞いているのですが、K君は伝えたいことがいつもとても多くて、話が尽きることはありません。
「先生、エジプトの文字って知ってる?僕、自分の名前をエジプトの文字で書けるんだよ。」「先生、この計算できる?9がいっぱいあるでしょ、この計算はね・・・」などなど、K君の興味は多岐にわたっており、いつも目を輝かせてお話をしてくれます。
先日は、国語の教科書で「ちいちゃんのかげおくり」という戦争のお話から、登場人物の状況や心情を学んでいきました。その時にK君が第二次世界大戦や真珠湾攻撃について、今度はアメリカの立場からのお話をしてくれました。日付や、どのような状況だったのかなどを、こちらが驚くほど詳しく知っていて、私もとても勉強になりました。

K君が興味のあることを話してくれる時に、毎回、「どうしてそれを知っているの?」と聞くのですが、いつも同じ答えが返ってきます。「本で読んだ!」と。

なるほど、子どもに本好きになってほしかったら、その子が興味を持っていることについての本を用意すればいいのだな、と感心しました。ついつい、これはためにならないからダメ。というような本の選び方をしてしまいがちですが、本を選ぶ時には子どもが楽しく読めることをまずは最優先しなくてはいけません。

また、暇な時間についついインターネットで動画を見たり、ゲームをしたり。というお子さんも多いかもしれませんが、暇な時間にふと手を伸ばして読むことができる本を身近に置いておくことも、自然に本を読むことができるようになる一歩です。
しかし、興味がある本を用意して、お子さんに「本を読みなさい!」と言うだけでは、いま一つ何かが足りない気がします。何が足りないのでしょう?
それは、大人も一緒に楽しむことです。特にお子さんが小さなうちは一人で本を読ませるのではなく、読み聞かせをしたり、この後どうなると思う?と、話の続きを一緒に考えてみたり、家族で一緒に読書を楽しむ時間が大切になります。
話をしているうちに、子どもは、親が思っているよりも幼かったり、また逆にしっかりしていたり、本当はものすごく冗談好きだったり、想像力が素晴らしかったりと、新しい発見がたくさんあるかもしれません。そのような時間を親子で楽しみ、読書は楽しい!と思えるような経験が、お子さんを読書好きな子どもへと導いてくれたらとてもうれしいですね。