教室にやってくる子ども達を見ていると、その姿が、水族館の大きな水槽で悠々と泳ぎ回る色々な海の生き物と重なることがあります。
問題がうまく解けなくて、悔しくて、プーっと膨らんだこの子の頬は、フグに似ているなぁ。チクチクのトゲが収まるまで、ちょっと待ちましょうか。とか、小柄ながらいつも物静かでマイペースに淡々と課題を進めて行くこの子は、イサキに似ているかな。とか、この子は興味のあるものはなんでも、たくさんの手で掴み取って食べて吸収して、さしずめタコってところかしら。のんびりマイペースなこの子は、ジンベイザメかな、、、などなど。
様々な個性を持った魚たちと同じ空間にいるような気がして、自然と頬が緩んでくることがあります。


水族館では、大きなサメから小さな魚までが同じ水槽内で生活をしている場合がありますが、どうして小さな魚は食べられてしまわないのかしら?と不思議に思ったことはありませんか?
自然界は弱肉強食の世界、お腹を空かせた大きな魚が小さな魚を食べるのは珍しいことではありませんが、水族館で充分に美味しいご飯を食べ満ち足りている魚たちは、小魚を食べることをほぼしないそうです。


日本で生まれ育った私は、子供の頃、放課後には子供同士で日が暮れるまで遊んでいたものです。しかし、このハワイでは子ども同士で自由に外で遊ぶのは難しく、子ども達は、いつも親の目が届くところで遊んでいることが多いのではないでしょうか。
自然界のように、自由に自分たちの責任で泳ぎ回れる世界も必要ですが、視点を変えてみると、小さな世界でも知的好奇心を満足させて友達同士で交流しあえる、そんな場があったらとてもいいのではないかと思うのです。
そして、もしその場が日本語を学ぶこの教室であったなら、、、と考えると、本当に嬉しく思います。
子どもたちの個性は、十人十色、色とりどりの様々な魚たち一人一人が必要な知識欲を満たされ、お腹いっぱいになって悠々と泳ぎ回り、さらに新たな知識を蓄えて行く。そんな学習のお手伝いができるよう、私もさらに泳ぎを覚えて一緒に楽しんで、子ども達とともに成長して行きたいと思っています。


この広い世界、一人として同じ子どもはいません。一人一人がそれぞれに目的を持って生まれてきて、成長して行きます。
ここハワイならではの、南国風のんびり自由で色とりどりな子どもたちが、やがて大きな海に泳ぎだして行く日を楽しみに、その時に少しでもこの日本語が一人一人のお役に立てることを願っています。

もうすぐ春休みですね。もし時間を作ることができたら、お子さんと一緒に水族館やハナウマベイに行き、親子でお互いにそっくりな魚を見つけに行く、そんな休日を過ごすのも楽しいかもしれませんね。