「ピグマリオン効果」というものを知っていますか? 別名、教師期待効果。
とある実験で、ランダムに選んだ児童の名前を担任教師に伝え「この子が今後数カ月、成績が伸びると予想されている子です」と言うと、実際にその児童の成績が上がった、というもの。
その子の元々の成績や能力に関わらず、教師が「この子は伸びるだろう」という期待の眼差しをかけることで、児童は期待されていると意識し、実際に成績が上がるのです。


学習教室のようなお勉強のための場所では、「椅子に座って勉強するのが得意かどうか」という基準だけでその子どもが優秀かどうかを測りがちですが、私は、教室の中では測れない才能についてもあれこれと予想して、それぞれの子どもたちに期待の眼差しを向けています。
「この子は強い情熱を持っているから偉大な事業をしそうだなぁ」とか「この子は表現力に長けているからパーフォーマーとしていいんじゃないか」とか「この子は優しくて思いやりがあるから多くの人を愛して人助けや社会貢献の賜物になりそう」…などです。


「何も良いところがない」子どもは絶対にいませんよね。みんな個性があり、それぞれの良さを持っています。
学校では先生たちが手を焼く問題児であっても、大人なってから人一倍の成功を収める、ということも実際に身の回りにある話です。その子に合った適切な期待の眼差しと愛情がかけられたケースでしょう。

このことは、教師から生徒に対する場合だけでなく、子育てにも応用できると思います。勉強が得意な子は、もちろんそれを伸ばせばいい。けれど勉強や学校の成績に限らず、あらゆるジャンルの子どもの良さに期待することが大切です。


ただしここで言う「期待」とは、親が子どもに対して抱く「こうなって欲しい」という理想を押し付けることとは異なります。親の側にもそれぞれ子育てにおける理想像があるのは自然なことですが、過度なプレッシャーをかけたり、親の方が焦ったりすることは避けたいものです。

その子の能力を純粋に信じて向ける「まなざし」が大切なのです。
子どものキラリと光る賜物の小さな種を見つけて、密かな期待を寄せる。そんな親バカでありたいと思います。