日本語の学習者にとって避けて通れないのは、漢字学習です。文部科学省が定めている小学校で習う漢字は、学習指導要領で定められています。2017年3月に告示された学習指導要領では,小学校1年生から6年生までに習う漢字の数は1026字となっています。そして、各学年で習う漢字の内訳は、1年(80字)2年(160字)3年(200字)4年(202字)5年(193字)6年(191字)となっています。これだけの漢字を一度に覚えるのは至難の業ですが、年月をかけて覚えれば、それほど難しいことではありません。
漢字テスト
授業では、授業開始時にあらかじめ配布して決められた範囲の漢字の書き取りあるいは読みのテストを実施しています。これは、一度に漢字をたくさん覚えるのではなく、少しずつ確実に覚える習慣を身につけるためです。もちろん、漢字学習を通じて、漢字を覚えることはもちろん重要ですが、決まったものを暗記するという学習能力を身につけられるようになることを期待しています。生徒には、成績にこだわるのではなく、前回よりも良い成績をとることに努力するようアドバイスしています。どうやったら、漢字を覚えることができるのか生徒が自分なりの方法を見つけることを期待しています。
言語学習ストラテジー
参考までに、レベッカ・オックスフォード氏の「言語学習ストラテジー」では、すぐに忘れないための、下記の記憶ストラテジーが提示されています。
(1)生成効果:自分で問題を作成したり解いたりすることで記憶を促進させる方法。例)自分で作成した問題用紙に解答する。友人と問題を出し合う。
(2)体制化:関連する情報をグループにまとめて整理したり、階層的に考えて把握したりする方法。図や表を用いたり順々に並べたりすることで関連するものをまとめる。例)似た漢字、あるいは読み方が同じ漢字をまとめて覚える(部首、象形文字、形声文字など)。
(3)精緻化リハーサル:情報を付け足したり関連付けたりする方法。イメージや既有知識を加えることで覚えやすくしたり、カテゴリーに分けて覚えたりする方法。例)色の漢字を覚えるときに、知っている他の色も合わせて覚える(赤、白、青、黄など)。
(4)維持リハーサル:忘れないように声に出したり、心の中で何度も復唱したりして覚える方法。例)漢字テストの前に、漢字を何度も繰り返し書いて覚える。
最後に
漢字学習は、日本語を理解するために必要不可欠なものです。日本語の文章を読むには、漢字が読めて意味が理解できることが前提となります。漢字の学習を通じて、暗記能力の向上、また、自分に合う漢字を覚えるための学習体験を積むことで、今後の生活で役立つ力を身につけることを期待しています。漢字学習で一番良いのは、日本語の文章になるべく触れて自然に覚えることですね。
余談ですが、シンガポールに出張した際、中国語は全く理解できなかったものの、中華料理店のメニューなどの表記文字の意味はかなり理解できました。また、現地の人と漢字である程度コミュニケーションも取ることもできました。ビジネスではもちろん英語を使用しましたが、もし将来中華圏で仕事をする、あるいは中国語を修得する機会がある場合、漢字学習はさらに役立つかもしれませんね。
マハロ!