こども学習教室・日本語で学ぶ国語と算数

日本語学習のすすめ

  日本語学習によって日本語の能力を身につけた場合、これは日本との関係だけに役立つのでしょうか。日本では、外国人労働者を積極的に受け入れて、米国のような多国籍人種が暮らせる国際都市国家に向かっているように見えます。その場合、日本語は、日本国内に留まらず、近隣国諸国でも通用する言語となるのでしょうか。そして、子どもたちが暮らす未来では、日本語を修得することによって日本以外の世界でも活躍することができるのでしょうか。

日本語学習者の遷移

 文化庁の調査では、1996年度では、国内の日本語学習者は約3万5千人であったものが、2019年度では、約27万8千人(約8倍)に増加しました。また、留学生数は、2003年に約10万人でしたが、2019年5月1日現在における留学生数は約31万人(約3倍)に達しているとのことです。現在の留学生の上位5位の内訳は、1位中国(12万4436人)、2位ベトナム(7万3389人)、3位ネパール(2万6308人)、4位韓国(1万8338人)、5位台湾(9584人)となっています。

 また、国際交流基金の2018年度の調査では、海外の日本語学習者は約385万人に達しているとのことです。内訳は、1位中国、2位インドネシア、3位韓国、4位オーストラリアになっていますが、最近ではベトナム、中国、オーストラリア、ミャンマー、インドなどで増加傾向がみられます。海外の日本語学習者は、東アジア、東南アジアが特に多く、この二地域で全体の約8割を占めています。

北風政策と太陽政策

 日本は戦前、世界の列強国の植民地政策に対抗すべく、近隣諸国に日本語教育の普及を強制的に推進して支配地域の拡大に努めていた時期がありました。しかし、一方的な日本語教育で、長期的な計画性に欠けていたことなどから地元住民の反発も強く、戦後は日本語教育の大規模な普及には至りませんでした。しかし、最近になって、日本の労働人口の減少から外国人労働者の積極的な受け入れが始まり、在留外国人は1970年代には80万人程度であったものが、2019年には200万人以上増えておよそ293万人(約3.5倍)に膨れ上がりました。そして、その外国人労働者の増加に伴う日本語教育の必要性が高まっています。ところが、生活者としての外国人の子供に対する学校での日本語教育が十分でないなどの社会的な問題も指摘されるようになりました。

共通語としての日本語

 世界で最も人気のあるリンガルフランカ(共通語)は現在、英語です。しかし、社会情勢は常に変化しており、どのような言語がどのような地域・分野で必要となるかは予測できません。

 私が幼少のころ、いとこがスウェーデンの金髪で青い瞳の女性と結婚しました。私は、青い澄んだ瞳で私たちが見えているのだろうかとその当時本当に不思議でした。そして、伯父が「みそ汁の作れる外国人」として東京の新聞に写真と共に記事が掲載されていたのを得意げに自慢していたのを覚えています。当時は珍しかったのかもしれませんが、今では記事になるとはとても考えられませんね。

 また、学生時代に「英語は暗号!」と思っていた私は、入社後、国際戦略要員にいきなり抜擢されて国際業務に就かされて、語学の勉強を余儀なくさせられました。英文の工学専門書あるいは学術論文等を読んでいたので、英文を読むことには抵抗はありませんでしたが、会話能力は殆どゼロで海外にはそれほど興味がありませんでした。海外出張を命ぜられた時の最初の仕事は、まずパスポートを申請することでした。現在では、考えられないような人材活用ですね。とはいえ、全く予想もつかない未知の分野に挑戦することに、やりがいを感じていたので、結構楽しく仕事に熱中することができたのは事実です。まあ、そのおかげで、気候の温暖なハワイで不自由なく暮らすことができたので、今ではとても感謝しています。

 国際化が進み、世界情勢あるいは技術革新等が目まぐるしく変化する現在の状況は、衰える様子を一向に見せません。また、最近のコンピューター技術の発達は目覚ましく、優秀な自動翻訳機または自動通訳機が登場するのは時間の問題です。しかし、子どもが身につける機械に頼らない日英両カ国語を自由に駆使できる自分自身の能力は、他に応用の効く汎用性のある能力であり、決して色あせるものではありません。この先、どのような社会になるのか想像もつきませんが、まだ全く見えぬ未来での、子どもたちの活躍を期待しましょう。そして、多面的な手段で、子どもたちが日本語能力を国際社会で活かすことによって、明るい未来をつかむことを期待します。

マハロ!

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