日本人は、日本語をいとも簡単に発音しているものの、その発音の過程はとても複雑です。発音には、声帯の振動を伴うか否かの発声、また、言葉として発音するため(言語音)の調音があります。そして、調音は、母音と子音に大きく二つに分けられます。母音は、基本的に声帯を振動させる有声音で、舌の前後の位置、舌の高さ、唇の丸めの有無によって、口腔内に声を共鳴させて作る音です。これは、実際に「あ、い、う、え、お」と発音すると舌の位置あるいは唇の形が変わることでわかると思います。また、子音は、口腔内のどこかで呼気を妨害することによって音を作ります。それぞれの子音の違いは、声帯振動の有無(有声音、無声音)、息を妨害する場所(両唇、歯茎、硬口蓋、軟口蓋、声門など)の調音点、息を妨害する方法(鼻音、破裂音、摩擦音、破擦音、はじき音、半母音など)の調音法で決まります。例えば、「マ」の場合、母音「あ」+有声音+調音点(両唇)+調音法(鼻音)、「ハ」の場合、母音「あ」+無声音+調音点(声門)+調音法(摩擦音)、「ロ」の場合、母音「お」+有声音+調音点(歯茎)+調音法(はじき音)となります。

音読

 授業では、生徒に文章をなるべく音読させるようにしています。声に出すことで自らの発音をチェックして、読めない漢字などをその場で確認させることができます。また、言葉のリズム(拍)、イントネーション、アクセント、プロミネンスなど自然な読み方についての指導もできます。日頃あまり日本語を音読することがないと思われるので、生徒にとっては大変だと思いますが、授業でしっかり学習させています。しかも流暢に音読しようする場合には、音読しながら、実際に読んでいる文章の先を読むという能力を身につけなくてはなりません。これは、一つのことだけでなく、いくつかの作業を同時に頭で考えてこなす能力の育成にもつながると思います。

朗読

 オンライン授業において、教科書の物語などを、YouTube動画を利用して声優あるいはアナウンサーといったプロによる朗読で聞く機会がありました。すべての教材に当てはまるものではありませんが、話し方の参考として、今後の授業の中でも活用していきたいと考えています。そして、模範朗読によって耳の奥で記憶に残る音読の声は、きっと将来の自らの音読をより上手くこなすための糧になると信じています。

最後に

 当塾の生徒は、日本語を正しく発音できる学生が多く、ご両親あるいは指導した先生たちの多大なる努力の賜物と思っています。折角正しい日本語を発音できるのですから、さらに磨きをかけてさらなる日本語の習得に頑張ることを期待します。

 スポーツや楽器演奏と同様、言葉も使わないと会話の能力がどんどん低下します。音読を積極的に楽しんで、日本語の会話能力の維持・向上に努めるようにしましょう。

マハロ!