在学中にハワイ大学と提携する団体によるインターンシップに参加できることを知っていますか。ハワイ日米協会(JASH)は、ハワイ大生2名を愛媛国際センターにハワイの文化を紹介するインターンとして毎年約3か月派遣しています。ハワイ大学の日本語研究センターにインターンシップの申請をして、大学とJASH双方の面接選考によって派遣が決定します。このプログラムは、ハワイ州と愛媛県の姉妹提携を推進するためのもので、この基礎となっている姉妹締結は、実は「えひめ丸」事件が契機となっています。

「えひめ丸」事件

 「えひめ丸」事件は、2001年2月9日、ハワイの沖で愛媛県立宇和島水産高等学校の練習船「えひめ丸」が、浮上してきた米海軍の原子力潜水艦の不注意で衝突して沈没した事故です。乗務員の35人のうち、えひめ丸に取り残された教員5人と生徒4人が死亡しました。私はその当時、ホノルル総領事館のハワイの軍事・政治を扱う政務班に所属していたので、この事件の衝突直後の報道から、船体引き揚げ作業、船内探索、軍事裁判などの経緯に直接関わる立場にありました。将来のある若者が犠牲となる誠に悲惨な事故でしたが、ハワイ州と愛媛県がこの事件を契機に、双方の関係悪化を防ぐだけでなく、良好な関係を築くことに尽力したことには、本当に頭が下がる思いです。

宇和島南中学との相互訪問プログラム

 娘が中学生の時、娘の中学と宇和島南中学との相互訪問プログラムが開始されました。娘は幸運にも相互訪問のメンバーに選ばれて、愛媛県を訪問し、また我が家にも宇和島南中学の生徒2名が数日間ホームステイしました。このことが心の片隅にあったのか、その8年後に、娘がハワイとの絆を深めるこのインターンシップに進んで参加して愛媛県を訪問することになったことは、本当に嬉しいことでした。なお、当時の宇和島南中学との相互訪問プログラムを主催したのも、ハワイ日米協会(JASH)でした。

娘の慰霊碑に献花した際のコメント

私が宇和島水産高校及び同校の慰霊碑を訪問するのは、今回で2回目になります。

私は中学生の時に、宇和島南中学校との相互訪問プログラムに参加して、この慰霊碑を訪問しています。このプログラムは、ハワイ沖での米原子力潜水艦と宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」との衝突事故の惨事を契機にして、愛媛県とハワイ州が姉妹締結を行い、同惨事による溝を埋めるために設立した相互交流を深めるためのプログラムでした。私は今回、宇和島水産高校でプレゼンテーションをすることに縁を感じます。プレゼンテーションの後、私たちは、慰霊碑に献花をしました。

「えひめ丸」の事故は、とても悲しい事故ですが、亡くなった犠牲者を忘れてはいけません。この惨事の後、ハワイ州と愛媛県は関係改善のために多大な努力を積み重ねました。結果として、愛媛県、ハワイ大学日本語研究センター及びハワイ日米協会のおかげで、多くの友好プログラム及び文化交流プログラムが設立されています。

ハワイ州と愛媛県が今後とも、相互の絆を深めていくことを心から祈ります。 

最後に

 娘は、北海道大学の短期留学よりも、このインターンシップの方が日本語を上達させたようです。学校あるいは説明会場において、ハワイの良さをアピールするプレゼンテーションをするのですが、出席者は英語を殆ど聞き取れない人が大半なので、英語よりも日本語の会話能力が問われます。また、愛媛県での知人もでき、帰国してからもハワイで開催される愛媛県との少年野球の交流試合で通訳などを務めていました。北大の短期留学は、クラスメートが国際留学生ばかりだったので、コミュニケーションは英語が主流だったようです。一方、ロシア人の同級生が日本人男性と結婚式をバリ島で挙げる時には、招待されて出席していたので、様々な国の出身の同級生との交友関係を築き上げたようです。

 ハワイ州と愛媛県の人々が関係改善のために努力して築き上げたこの交流プログラムに子どもを参加させてみませんか。日本語のブラッシュアップにもなりますよ。

マハロ!